音楽家業をしている中で、経済的に危機的な状況に陥ったのはこれまで3度あります。一度目は、大学卒業してしばらくの間、2度目は東日本大震災があった2011年、3度目は正にコロナショックが続く今現在(2020~)です。それ以外は安泰だったかと言えば、そうではありません。常にギリギリの綱渡りをしているようです。
先に結論から述べますが、音楽家は食えません。正確には、音楽家業だけで食べていくのは大変です。もちろん大きな仕事に事欠かない優秀な音楽家やヒット曲を連発するようなアーティストがいることは確かですが、ここではひたすら楽器にのみ専念してきた(私のような)者について書きたいと思います。セルフプロデュースや経営の知識など、社会に出てから生きていくすべを、時流に対する嗅覚を研ぎ澄し、それらのセンスを磨く機会があれば、変わっていたかもしれません。
大学を出てからの進路は、就職するかフリーになるか、ならざるを得ないか、です。
就職は、プロオーケストラやそれに準ずるアンサンブル集団に所属すること、または、学校の教師や音楽教室の講師として雇用されることです。オーケストラは定員があるので、タイミング良く空きがあればオーディションに挑戦する事ができますが、そのポストを狙って猛者たちが受けに来る狭き門です。実力はもちろんのこと、運にも左右されるかもしれません。教員免許を取得していれば、音楽の教師としての道もあります。
オーケストラに就職を望む人は、パートの欠員がでるまでオーディションに備えて練習を重ねつつ、更に進学するか、フリーの音楽家となります。