初めて真空管アンプ作りに挑戦した時の期待を込めて再生した出音は忘れられません。
ショボ
作ったアンプはトライオードのキットです。重量感のある出力トランスがこだわりでした。配線図を見ながらハンダ付けをし、組み立てました。最後に真空管を挿入して、音源と繋いで再生したわけですが。
アナログのぬくもりのある音との評判だったので、ものすごい期待していました。これまで使っていたトランジスタのアンプが寿命で修理不可能となったので、吟味を重ねて奮発してアナログアンプを購入したのです。
裏切られた!
そう思っていました。なんとか使える水準まで音を良く出来ないかと、ケーブルを変え、イコライザーをいじり、様々なジャンルの音楽を試していました。金勘定に失望感、これを売って新しいアンプを導入するかなど、思いを巡らせしながら作業していました。すると、ある時から出音が変わり始めました。鮮明に鳴り始めたのです。貧弱な低音はしっかりと響き、奥まった中音域は伸びやかに、曇った高音域は開放的に鳴っています。ケーブルやイコライジングを変えたからかと思いましたが、そこで変えられるのは極僅かな範囲です。明らかにアンプが鳴り始めました。
調べてみるとそれはエイジング(ageing)と言うそうです。新品のアンプは鳴り始めるまでに約5時間の再生必要らしいです。そして、本来の音が出せるまで2,3年はかかるらしいのです。
今でもそのアンプを使用していますが、2,3年の経過は良くわかりませんが、常に良い音で鳴っています。最初の5時間の音とは天と地ほどに。