「4分33秒」は、音楽の可能性を示しただけだと思います。
「無響空間にいると人は45分で発狂する」というのが一時期話題になりました。その部屋は、物音一つせず音はすべて吸収され、静けさから耳鳴りが始まり、ジョン・ケージが経験したように、体中から流れる「音」がやかましく、生きているうちは止められないその「音」が絶えられないほどの「騒音」となって、終いにはそれをかき消す為に発狂し、錯乱状態になるというのです。
無響室の工事担当者は、あまりの異常な空間に、施工中ノイローゼになってしまったという話もあります。しかし、一方でその静けさから、昼寝に適しているという人もいるらしいので、個人差があるのでしょう。
いずれにしても、無響室では、音の反響はありません。自ら発した音は反ることなく吸収されてしまいます。どんなに自分がうるさく感じている体内の音も、室内にこだます事はなく、声を上げても手を叩いても音が空間にとどまる時間はゼロ秒です。