フルート 齋藤 寛 オフィシャルサイト

評論家

私がクラシックに目覚めた頃、手に入ったCDは限られていました。街のレコード店の小さなクラシックコーナーは、楽団や指揮者を選べるほどの在庫は無く、目的の曲を買いに行くと自然とドイツ・グラモフォンのカラヤン:ベルリン・フィル、ベーム:ウィーンフィルという取り合わせが多かったと思います。インターネットもありませんので、情報はクラシック雑誌やカタログから仕入れることになります。クラシック関連の書籍も読みました。その中では、どれもカラヤンやベームの録音を褒め称えていましたので、その評価をそのまま受け入れ、手に入れたCDに満足していました。

その後、ベルリン・フィルの常任指揮者はカラヤンからアバドに替わりました。私は地元のジュニアオーケストラに所属していたので、そこの仲間とクラシック談義に花を咲かせていたわけですが。その日の話題は、最近録音が出始めたアバドについてでした。私たちのほとんどは良く思っていませんでした。カラヤンの音は重厚で貫禄のある演奏、対してアバドは軽すぎて物足りないと。

その後度々開催される評論会は、楽器奏者に対しても向けられました。パールマンはテクニックは完璧だが音楽性が乏しい、対してハイフェッツは熱い演奏で素晴らしい、ランパルはミスが目立つ演奏だがニコレは落ち着いた演奏だ、ブレンデルの繊細なタッチには誰もかなわないだろう、などその優劣を競わせるような話で大盛りあがりだったのです。

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