フルート 齋藤 寛 オフィシャルサイト

エイジング

新しく楽器を買うときのことを考えます。大体は試奏して選ぶわけですが、楽器にもエイジングが必要だと思っています。新品はもちろん、メンテナンスしたてのものもその後、大化けする可能性があります。

私も新品の楽器の豹変ぶりを何度も体験しています。どれだけの期間吹き続ければエイジングが完成するか、というはっきりとした基準はわかりませんが、過去新品で購入したムラマツのADは鳴り始めるまでは音が狭いと感じていたし、その後使用したPT-Pは、ある音だけなぜかビリビリと共振が起きしばらく響きが安定しませんでした。響きの方向が安定してからは、つるりとなめらかな音を奏でてくれました。そして、現在使用しているイワオのフルートは、正直最初の1年は本当に吹きにくいと感じていましたが、2年目3年目と日に日に良くなり、今ではこれ以上の楽器は手に入らないと思うほどです。楽器製作をお願いする時に、歌口の作りや削りを意図的に厳しくするようにしていたので更に時間がかかりましたが、ここで学んだことには意義を感じています。第一印象で吹きにくいと感じる楽器は、成長させる鍵を握っているかもしれません。それは、今の自分の吹き方と違う吹き方をしなければ鳴らせない楽器だからです。なんとか鳴らそうと試行錯誤することは演奏技術の向上につながると確信しています。おっと、これはエイジングとは別の話です。しかし、楽器選定のひとつの基準になることです。

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