実は、ベートーヴェンやチャイコフスキー、シベリウスのヴァイオリン協奏曲の初演は失敗に終わりました。奏者の技術が追いつかなかったこと、リハーサルが上手く行かなかったことなどが原因らしいです。しばらくはお蔵入りとなりますが、しかし後世に名手によって世に知られることとなりました。現在は押しも押されぬ名声を獲得しています。このような例は他にもあります。
シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」は今やフルートでも演奏することが普通になりました。他にも、シューマンの「3つのロマンス」やフランクの「ヴァイオリンソナタ」などはレパートリーともいえます。プロコフィエフのフルートソナタはヴァイオリンと同じ、ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲はフルートで演奏すればフルート協奏曲です。これらはマルセル・モイーズを始め、ランパル、ニコレといった名手の功績です。もとの楽器が何であれ、楽曲の魅力を引き出すことに成功しフルートのレパートリーとして昇華させることが出来たのです。