本書のまえがきより抜粋
本書は、モーツァルトが5歳の時初めて作曲したK.1から父レオポルトによる幼児教育期が終わる8歳頃に作曲されたK.5まで、そして同時期にロンドンを旅行中にスケッチされたK.15a – K.15qqのいずれもピアノ(クラヴィコード)のための曲集、合計49曲を2重奏のために編曲した曲集です。如何にしてモーツァルトが天才といわれる力量を身につけたのか、最初期の作品を追うことで理解が深まると考えました。各曲は短いながらもウィットに富んだ内容の濃い作品ばかりです。この進歩的で普遍的な旋律をピアノ以外のすべての楽器でも親しめるように、との思いで、音域と調号を調整しました。音域は「五線下のド」から「第3オクターブのファ」まで、調号はシャープ、フラットをそれぞれ3個までにしました。(一部「五線下のシ」の表記がありますが、調整可能です)。
モーツァルトの活躍した「古典時代」は、歴史的に重要なレパートリーが数多く生まれた時代です。しかし、フルートをはじめ管楽器にはオリジナル曲が少ない時代でもあります。ピアノやヴァイオリンなどは曲も多く、練習でも触れる機会があり、自然と音楽のニュアンスを取り込む事ができますが、その他の楽器はそうではありません。その点においても、この制約のない小品は荒削りながらも後の世に多大な影響を与える要素を多分に含む魅力的な作品として奏者の想像力に「小さな翼」を与えてくれると確信しています。最後になりましたが、この曲集が日々の練習、コンサートプログラムへの新しいアプローチとしてご活用いただけるのなら、この上なく幸いなことです。それでは、5歳児の羽ばたく無限の可能性へご一緒しましょう。