フルート 齋藤 寛 オフィシャルサイト

その日の調子

ひとつは、楽器の調整が狂ってしまった時です。この場合、本人がいくら奮闘しても徒労に終わります。調整に出すしかありません。しかし、出る音と出ない音を把握しようとすることには意味があります。指に伝わる振動に敏感になりながら、どこで鳴らなくなるか気を配るのです。また、頭部管のコルクの状態や、タンポを観察して、連動するキーを確かめてみて、不調の原因を探ろうとすることで、楽器の構造を理解していくことが出来ます。簡単な調整ネジで済むなら、自分で調整してみるのもいいですが、構造自体に手を加えようとすると、バランスが崩れて更に悪くなる可能性があるので、メンテナンスにまかせるのがいいでしょう。調整をお願いするときに、どのへんが調子悪いか伝えるのが親切です。その辺りを重点的に、また他の部分もじっくりと見てもらえると思います。

ふたつ目は、唇の調子が悪い時です。フルートを吹く唇は非常にデリケートです。ちょっと薄皮が剥けてしまっただけで、思い通りに行かなくなります。唇のメンテナンスは必須です。リップクリームを愛用している人は多いようですね。私の場合はあまり使いません。一時期使っていたこともありますが、禁断症状的にリップが切れるとそれだけで不安になってしまうので、使用を中止して神経質になり過ぎないよう心がけました。特に冬場は、乾燥で唇が割れてしまうこともあります。湿度を保つことは大切ですね。今はマスクをするのが当たり前となっていますが、私は以前から、飛散防止の役目より唇を守るためにマスクを着用していました。これは効果的な方法だと思います。

しかし、一番荒れてしまうのは練習を怠ったときです。毎日演奏することで、唇の運動となり、血行が促進されて、新陳代謝がよくなり、いい状態を保てるのかな、と勝手に思っています。

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