打者の方も対策をしないわけではありません。どのようなタイミングでどんな球種が来ても打てるように練習をします。この点について、落合とイチローの対談が非常に興味深いものでした。当時25才のイチローは日本プロ野球史上初となる5年連続首位打者獲得を達成した年でもありました。バッティング理論について落合から質問されたイチローは
「ピッチャーの投げたところからバットに当たるまでを線としてとらえるようにしている」
と答えました。
なるほど。これまで感じていたことがつながったようでした。野球素人の私は、バッティングセンターのようにわかりやすいタイミングでなければ打つことができません。それは楽譜に例えるなら、四分音符を刻んでいるようなもので、もし八分音符や16分音符のようなタイミングの球が来たら対応できないということです。対して、始点から終点を線としてとらえた場合、その線は無数の点の集合体なのでどのタイミングでも合わせることができます。四分音符の間を32分や64分音符で刻んでいるようなものです。(無意識にでも)細かくカウントすることで、超変拍子にも対応できるわけです。