期待はずれにならないためにも、「間」を整えなくてはなりません。予想もつかないところに「ある」場合や、「ある」はずのところに「ない」場合の心地よい裏切りは、より音楽を魅力的なものにするのです。即興音楽の場合は偶然が作用することがありますが、多くの場合必然性を求めています。
「間」を知ることは自由に演奏することにもつながります。イヴァルディ先生のレッスンでは、ルバートについての指摘がありました。
「ルバート(rubato:自由な速度で)は基本的にスティール(steal:盗む)だから、その分は後で返却しなければならない」
つまり今「間」延ばして自由に演奏しているところは、後から持ってきているだけということです。ですから返さなければ「間延び」したものとなってしまいます。締まりのない演奏は避けたいところです。
これは、メトロノームのクリックを1拍の点としてとらえていると難しいものです。小節やフレーズ単位を線でとらえるように、曲を通して連なるスケッチのようにイメージすると素敵だと思います。